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建築基準法的にちょっと難解な部分がある設計などを進めていく場合は
法の扱いを審査機関や建築指導課と協議することがあります。
特に改修工事などは法改正前の基準に適合させている場合などがあり
どのように現行法に適合させて進めるかという問題があるためです。
今回のハロンズ岩見沢も改修工事でしたので
建築指導課と協議を進めていくなかで投票所(客席部分)を二つに分ける必要がありました。
投票所を二つに分ける壁と建具
本当はひとつの大きな投票所として使いたいのでふたつに分けてたとしても
少しでも広く見えるように見通しのきくガラス戸の6枚引き戸にしました。
(厳密にはガラスではなくポリカーボネートで安全性を担保してるんです)
引き戸には戸袋と呼ばれる開いた戸を収納する部分があるのですが
(複数の戸の場合は戸が溜まっている部分ですね)
この6枚引き戸ではもう戸袋が確保できるスペースがありませんでした。
写真を見てもらうと分かるように右も左もスペースがないのです。
そこで考えたのが戸一枚の幅と柱の幅を同じにして柱の陰を戸袋として利用することにしました。
同じ幅なので柱の陰にすっぽり納まり一体感がでます。
一体感というより違和感を少なくするといった方向性の調整ですね。
柱の陰に戸が納まった写真
これで戸袋スペースが無くても戸収納することができて
尚且つ、柱両サイドのスペースも広く確保できるようになりました。
少しでも広く見えて広く使えるように
これは初めから柱の陰を戸袋として利用するつもりで壁の位置を柱の際に調整し
柱の幅と合わせた戸を6枚になるように計画していたのです。
そして工事が進み
おそらく図面だけでは伝わらなかったその趣旨を
現場で監督と建具屋さんと打ち合わせしてつくっていきました。
建具屋さんが柱と戸の幅を合わせるために四苦八苦していましたが流石ですね。
おかげ様できれいに納まりました。
建築士法では、設計監理での工事監理とは図面通りに工事が進んでいるかチェックすること
と規定されていますが、ことさら改修工事では壁を壊してみて何が出てくるか分からないところもあります。
想定外のことがあったときにどのように対処するかも監理者の腕の見せ所でしょう。
今回の引き戸のことは想定外の事柄ではないですけどね。
まぁそんなことも含めて、これだから現場監理は楽しいのです。